ちょっぴり親切な講義録 2001.8.01. より詳しく読むということ
 大学院の「数学教育特論II」,学部の「総合演習・数学」では,あるテキストに
関して受講者の皆さんそれぞれの担当箇所を決め,他の人よりも少し詳しく読んで
もらいます.その発表が他の受講者に有益であって欲しい.日本語で書かれたテキ
ストでも何も考えていないと読みとばしてしまうようなポイントに敢えて引っ掛
かってより多くを得ることができるはずです.そのヒントとして,次に作業例を挙
げます.
【1】著者の主張の再構成
(1)著者の主張を視覚化(表や図式にしてまとめる)してみると,込み入った
論旨が分かりやすくなる場合がある.
(2)著者の主張していること,あるいは,主張に対する根拠を箇条書きにしてみる.
【2】著者の主張の吟味
(1)論の立て方に無理(飛躍)がないか.
(2)根拠の挙げ方が適切か(既知の事柄に矛盾してたり,偏りがあったりしてな
いか)
(3)根拠の出典が確実か.→参考文献を辿っていく.
(4)箇条書きに挙げている項目に過不足はないか.
(5)箇条書きの項目が6以上ある場合,その項目をさらに分類できないか.
(6)用語が定義されているか.(単なる印象的記述ではないか)
【3】表現の検討
(1)表やグラフが適切か.(軸の数値の間隔によって感覚が左右される)
(2)やや抽象的に記述されている事柄の具体例を考えてみよ.
(3)比喩が適切か.
(4)他の表現ができないか考えてみよ.
【4】発表者の感じ方
(1)論旨に賛成か反対か.わかりやすかったかどうか.
(2)前項の理由は何故か(恐らく上述の諸項目と,発表者とに関連)
発表の方法としては,B4・1枚のプリント(資料が別にあってもよい)にレジュメと
して発表内容をまとめて,事前に正田へ原稿を提出のこと(正田がコピーして配る).
直前の回の発表者が記録係.これもB4の記録レジュメを作って次回冒頭に発表.